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【初めての仮名②道具編】~仮名の筆、硯、紙、墨などの解説

初めての仮名~筆の種類

上:柳葉筆
下:面相筆

穂の形(筆の先)から筆の種類が分けられます。
ここでは、おもに3つ紹介します。

【柳葉筆(りゅうようひつ)】
横から見た穂の形が、
柳の葉のようにふっくらしている
ことから名づけられました。
筆に適度な太さがあり、
線の変化もつけやすいです。
最もよく使われている筆です。

【面相筆(めんそうひつ)】
穂の先が細く弾力があります。
人の眉や輪郭など細い線
書くことから名づけられました。

【雀頭筆(じゃくとうひつ)】
最短鋒で、穂が雀の頭に似ている
ことから名づけられました。
「*写経」で使われることが多く
腰の弾力が強く、細くきれいな線が出せます。
(*「写経」とは仏教において経典を
書写すること、またはその書写された経典のこと。)

初めての仮名~筆の選び方

初めて仮名をされる方は、
墨含みのいい柳葉筆がおすすめです。

書道用品店の方に相談して買うほうが
失敗は少なくて良いと思います。
その際には、書道歴
書きたい字を伝えたり、
手本を見せたりすると
良いものを選んでもらえます。

ネットで購入したい方は、
広島の「仿古堂(ほうこどう)」さん
の筆がおすすめです。
漢字、仮名、前衛書用、実用書など
書体に合わせて様々な筆を使っていますがどれも品質が良く使いやすいです
https://houkodou.shop-pro.jp/

仮名の小筆を買う時の注意

注意していただきたいのが、
「小・中学生用」とか書かれてある小筆です。
これは、仮名文字を書くのには向いていません
仮名文字を書くには穂先がまとまらず、はらいなどを書くときに、
繊細な線が出ません。
似て非なるものだと思って下さい。

仮名の小筆の相場

小筆は、最低でも1000円以上
のものが必要だと思います。
2000円くらいのもの購入すると、
ほとんどが使いやすいです。

初めての仮名~小筆の下ろし方(新品の筆をつかえる状態にすること)

筆の穂先だいたい1/3くらいの所を
人指し指と親指で挟む
②平らな所に筆の穂先つけ圧を加え、
糊づけされている穂先をばらけさせる。
③穂を挟んでいる指を持ち換える
④②と同じ作業をする。
⑤穂先に墨を含ませる。

①穂先1/3の所を人指し指と親指で挟む
②平らな所に筆の穂先つけ圧を加える

初めての仮名~新品の小筆を下す理由

新品の筆は糊付けされており、
そのまま墨をつけてしまうと、
筆を下ろしすぎてしまいます。
筆の根本まですべて墨を含ませると、
線が太くなったり、
いつまでも掠れなかったり

コントロールがしづらくなります。
ですので、墨をつける前にする準備があります。

初めての仮名~小筆の洗い方

半紙書き損じた半紙などの上に、
数滴水をたらす
穂先を整えつつ、水を垂らしたところで洗う
①②を繰り返す
*筆を下した境目を丁寧に洗うことで、
筆は長持ちします。

水を数滴たらし小筆を洗っている

初めての仮名~小筆の寿命

小筆の寿命は、
使う頻度によってですが、
太筆に比べすぐに使えなく
なってしまいます。
消耗品だと思ってもらうくらい
が丁度いいと思います。
作品を作ったり、
書き込んだりすると、
私は1か月で小筆が使えなくなります。

初めての仮名~小筆が使えなくなった合図

①書いている時に筆が割れてしまう
穂の先端の長い毛(命毛のげ)
が擦り切れて
なくなってしまう。

①②の症状が起きると
仮名用としては、
使えなくなりますが、実用書道に
関しては使えることが多いです。
再利用するのも良いと思います。

特に仮名のような
細い線を書くときには、

先端の命毛(のげ)は大切です。
*「命毛」筆の穂先の長い毛。
書くために最も大切な部分
であるところから名づけられた。

小筆の消耗を減らすために、
3本同じ筆を買って、
ローテンションして使う人もいます。

初めての仮名~墨の種類

墨の種類は大きく分けて2つあります。
油煙墨(ゆえんぼく)
松煙墨(しょうえんぼく)です。

左:油煙墨 右:松煙墨

初めての仮名~油煙墨

【油煙墨】は光沢があります。
菜種油、椿油、桐油など
を燃やして得た煤を原料
として作った墨のことです。
松煙墨に比べると、歴史は浅いです。
特徴としては、
墨色は漆黒のものが多くで、
粒子が細かいです。

初めての仮名~松煙墨

【松煙墨】は光沢が少なく、
マットな墨色です。
松材を燃やして得た煤を
原料にして作った墨。
油煙墨より古い歴史を持っている。
特徴としては、
粒子が油煙墨よりも粗く
青味かかった墨色をしています。

初めての仮名~墨のおすすめ

初めての仮名は「油煙墨」
をおすすめします。
油煙墨のほうが黒々と
はっきりした墨色で、
粒子が細かいので、
長い線や続いている字(連綿線)など
滑らかに書けると思います。
(作品の趣によって、
松煙墨を使うこともあります。

初めての仮名~墨の手入れの仕方

墨を磨り終わるとすぐに
使った半紙などで
磨り口をふき取って下さい。
磨った後、そのままにしておくと
墨が割れてしまいます。
墨の使用後付属の桐箱にいれて
おくと良い状態を保てます。
桐箱がついていない場合は、
半紙でくるんでおく
よいと思います。

初めての仮名~硯の選び方

仮名は、硯で墨を磨ります。
墨汁も売られていますが、
高価な上、磨った墨よりも
均一的になります。
中国の端渓硯が有名ですが、
日本で作られた和硯が
日本の墨ととても相性が
よくおすすめです。

初めての仮名~油煙墨を使うなら「若田硯」

若田硯

「油煙墨」ー【若田硯】
がおすすめです。
墨のおりがよく、
油煙墨の墨色の良さなどを
引き延ばしてくれます。

初めての仮名~松煙墨を使うなら「赤間硯」

赤間硯

「松煙墨」ー【赤間硯】
がおすすめです。
墨色が透みきっていて
とても綺麗です。
「赤間」と書かれてあるように、
硯も赤色をしていて美しいです。

初めての仮名~油煙墨・松煙墨の両方を使うなら「雨畑硯」

油煙墨も松煙墨も両方使うという方は、
【雨畑硯】よいと思います。
「雨畑硯」は松煙墨のほうが
合っていますが、
油煙墨でも使えます

初めての仮名~硯の買い方

硯の買い方ですが、
書道用品店で買う。
ネットで買う、
硯の産地で買うなど
様々な方法があります。

私は、書道用品店やネットや
頂き物まで様々なところで
購入しました。

その中で、メルカリで販売している
感動硯作家の「みにすた」さんから
購入するのが良かったです。

書道歴や書きたいものを
相談した上で、
予算に合わせ
硯と墨をセレクトしてくれます。
硯もその方用にチューニング
して下さるので墨下り、
墨色もとっても良いです。
以下、URLを貼っておきます。
https://www.mercari.com/jp/u/374073529/

初めての仮名~硯の使い方(墨のすり方)

墨の磨り方は2つあります。
①墨をまっすぐに立てて磨る方法
斜めに磨る方法
・硯の陸(硯で墨を磨る面)での
墨の動かし方は、2つあります。
前後に動かす方法
円を描いて動かす方法
磨りやすいほうを選択するのが
良いと思います。

墨をまっすぐに立て前後に磨っています

初めての仮名~硯の洗い方

硯は、
「使い終わったらすぐに洗う」です。

墨は、煤(すす)と
膠(動物の皮膚や骨から
とったコラーゲン。
接着剤の役割を果たす)
からできており、
硯を洗わずにすると、
硯面に膠や煤が付着し、
磨れなくなってしまいます。

①硯面を水でひたし
硯面を傷つけないスポンジで
墨を落とすように洗います
(100円ショップので十分です。)
水をふきとり乾かします。
(濡れたままにすると、
水アカがついてしまいます。)

初めての仮名~紙の種類

仮名の紙は、
大きく分けて
3種類あります。
仮名の紙に共通することは
「にじまない」ということです。
用途に合わせて使い方を変えていきます。

【仮名用半紙】
練習用が主ですが、
作品にもつかうこともあります。
【ロール紙】
仮名用半紙が和紙に対して、
こちらは洋紙です。
仮名用半紙によりも、
滑りがよく墨続きがよいです。
臨書用に適しています。
*「臨書」古典などの優れた筆跡を
手本として書くこと。
【料紙】作品用です。
色付けされてあったり、
金箔などがついている
加工された色鮮やかな紙です。

初めての仮名~紙の選び方

まずは、仮名用半紙
あれば十分だと思います。

仮名の半紙は、
漢字と違って、
なかなかなくならないので、
100枚くらいあれば、
結構長持ちします。

書道用品店に行ってみると、
見本があり、
実際に試し書きさせてくれる
お店もあります。

すこし学習が進み、
美しい紙に書いてみたいときは、
料紙を買ってみるのも
良いと思います。

実際に、見本があり、
試し書きさせてくれるお店
URLを下記にのせておきます。
http://www.kywa.jp/shop-info/shop-yokohama.htm

初めての仮名~まとめ

・筆は柳葉筆
・墨は油煙墨
・硯は和硯
(若田硯、雨畑硯、赤間硯)
・紙は仮名用半紙