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【初めての仮名①仮名って何?】~仮名の成立から仮名の種類の解説

初めての仮名~仮名とは

こんにちは。書家のyukoです。
今回は、仮名って何?という基本を解説していきます。
成り立ちを知ることで、習いやすく、身近なものになり、
楽しんで取り組めるようになると思います。

日本人はかつて文字をもっていませんでした。
中国から漢字の音(おん)を借り、
自分たちのオリジナルの言葉を書き記しました。
これが仮名という表音文字(一字一字を音だけで表す文字)
のはじまりです。また、漢字のことを「真名」と呼ばれたのに対し、
仮の字という意味から「仮名」と呼ばれました。

初めての仮名~仮名の成立(男手)

仮名ははじめは、漢字の楷書行書で書かれていました。
その仮名を「真仮名(まがな)」「男手(おとこで)」といいます。
これが仮名の最初の姿です。時代は、奈良時代ごろです。
「仏足石歌碑(ぶっそくせきかひ)」(下記の1番目の写真)
(奈良県奈良市の薬師寺に伝わる奈良時代の歌碑)や
「正倉院文書(しょうそういんもんじょ)」(下記の2番目の写真)
(奈良時代に作られた文書)で見ることができます。
(写真の字は、仏足石歌碑、正倉院文書を見て、書いたもの)

【仏足石歌碑】伊可奈留夜(いかなるや)
【正倉院文書】於保末之末須(おほまします)

 

初めての仮名~仮名の成立(草仮名)

平安時代になると、簡略化が進みました。
漢字から草書に書かれるようになりました。
これを「草(そう)」「草仮名(そうがな)」
呼ばれます。
「秋萩帖(あきはぎじょう」で見ることができます。(下記の写真)
(写真の字は、「秋萩帖」を見て、書いたもの)

【秋萩帖】安幾破起乃(あきはぎの)

初めての仮名~仮名の成立(女手)

平安時代中期になると、字のもともとのの姿が分からないほど、
略された「仮名」が生まれました。
仮名は「女手(おんなで)」ともいいます。
代表的なもので「高野切第三種(こうやぎれだいさんしゅ)」
で見ることができます。
(下記の字は、「高野切第三種」を見て書いたもの)

【高野切第三種】(こしなるひとにつ)

初めての仮名~現在の仮名の種類

現在の仮名の種類は3種類です。
現代でも日常的に使われている「平仮名」「片仮名」
そして「変体仮名(へんたいかな)」です。

初めての仮名~現在の仮名の種類(平仮名・変体仮名)

仮名はもともと漢字の音を使っていました。
例えば、「あ」には、「安・阿・愛・悪」
このように、一つの音にいくつもの漢字があてられていました。
あまりに多くの仮名があったため、
明治時代に一音に一字、その代表が決められました。
その代表が今私たちが使っている平仮名です。
「あ」は「安」という漢字があてられました。
それ以外の「阿・愛・悪」は、
「変体仮名」として区別するようになりました。

「ひと」ー平仮名
「悲東(ひと)」ー変体仮名

初めての仮名~現在の仮名の種類(片仮名)

9世紀の初め頃、速書きする必要などから、
主に漢字の一部をとって作られました。
漢文や仏典の訓読の補助として使われました。
*訓読(漢字に固有の日本語をあてて読むこと)

「ヒト」ー片仮名

初めての仮名~仮名の美(連綿編)

和歌の散らし書き 連綿・墨の潤滑・行を分けて書くなどの工夫をしている。

 

「連綿(れんめん)」とは、文字をつなげて書くことです。
1文字1文字を書くのではなく、
2文字3文字続けて書くことをいいます。
もともとは速く書くために生まれてきたようですが、
次第に美しさを求めれれるようになりました。
仮名には、文字のつながりが生み出す流れの美しさが感じられます。

初めての仮名~仮名の美(墨の潤滑編)

墨の潤滑とは、墨の多いところと少ないところです。
潤滑があることにより、作品の中でコントラストが生まれ
立体感のある美しさが生まれます
墨の多いところは、黒々と力強くアクセントになり、
墨の少ないところ、掠れ、はかなげな美しさなど表現できます。

初めての仮名~仮名の美(散らし書き編)

「散らし書き」とは、俳句や和歌などを書くときに、
行を変えたり、行の間を狭くしたり、広くしたりなど、
様々に変化をつけて書く書き方です。
行を自分の工夫次第で様々に変化することができます。
散らし書きにより行の構成の美しさを感じられます。

初めての仮名~まとめ

・仮名は「男手(真仮名)」→「草仮名」→「女手(仮名)」と成立してきた。
・現在の仮名の種類は「平仮名」「変体仮名」「片仮名」
・仮名の美しさは、「連綿」「墨の潤滑」「散らし書き」によって生まれる。
(参考文献:書道Ⅰ 高校学校芸術用 東京書籍)